今回はマイケルポーター氏が提唱している「競争優位の戦略」の1つの差別化戦略について紹介しています。
「自社の特徴を生かしたマーケティング戦略が知りたい」
「競合他社との価格競争に巻き込まれない戦略が知りたい」
「新規参入企業を抑制できる市場で戦いたい」
このようなお悩みの方に有益な情報を公開しています。
差別化戦略のポイントは、自社の強みを理解し戦略を立てることです。
成功している多くの企業は、自社の分析を徹底しています。まだ自社の分析が出来ていない企業は是非、本記事を参考にして差別化戦略に取り組んでみましょう。
差別化戦略とは
差別化戦略は、競合他社が市場で提供する可能性のあるアイテムとは異なる、独自の何かをユーザーに提供するアプローチです。
差別化戦略を実装する主な目的は、競争上の優位性を高めることです。企業は『長所と短所』『ニーズ』およびユーザーに提供できる全体的な価値を分析することによって差別化戦略を達成します。
差別化戦略のメリット
続いて差別戦略を行うメリットを紹介します。下記メリットを確認し、自社にとって最適な戦略であるか確認してみましょう。
【メリット①】価格競争に巻き込まれない
差別化戦略を行うと、競合との価格競争に巻き込まれにくいメリットがあります。
差別化戦略は、ユーザーが求めるニーズがあり、他業者が参入してない市場にポジショニングを行うことです。他社とはユーザーを満たすニーズが異なるため競合になることが少なく、価格競争に巻き込まれにくくなります。
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【メリット②】新規参入を抑制できる
差別化戦略を行うと新規参入企業を抑制することができます。自社で市場調査に時間を掛け、コンセプトがはっきりしていれば、新規参入企業がその市場に参入してくるケースは極めて低いと言えるでしょう。
新規参入には、ニーズや市場規模の調査、商品の生産など多くのコストが掛かかります。自社が差別化戦略にて、その市場のパイオニアとなっていれば、それ以上の優位性を他社が提供するのは、非常に困難となるためです。
差別化戦略のデメリット
差別化戦略のデメリットについても紹介します。
デメリットも加味した上で、差別化戦略を行うか検討しましょう。
【デメリット①】商品・商材の価格が上がる
デメリットの１つとして商品・商材の価格が上がるケースがあります。
差別化は、自社商品に対して『機能』『感情』の価値観を与えます。この構築にはコストが掛かるケースが多いといえます。
例えば、商品に競合他社製品にはないような機能を追加するなどのケースです。こういった場合開発費などにコストが掛かっているわけですから、商品の販売価格も当然上がってきます。
【デメリット②】ユーザー離れが起きる可能性がある
差別化戦略を行うことにより、ユーザー離れが起きる可能性もあります。
差別化戦略はニーズの絞り込みです。現在販売している製品とニーズが大きく変化した場合、これまでファンだった既存ユーザーが離れるケースも当然考えられます。また、商品価格の上昇によってもユーザーが離れる可能性もあるでしょう。
差別化戦略の作成方法
差別化戦略の作成方法について紹介します。
差別化戦略は、『自社商品のスペックを他社よりも優れたものにする』といったようなシンプルな対策では差別化戦略と言えません。他では真似できないような差別化戦略を作成する必要があります。手順は下記の通りです。
【工程①】製品の長所と短所を知る
まず、差別化戦略をこれから行うのであれば、自社の分析を行い、製品の『長所』と『短所』について知る必要があります。製品の長所を知ることは差別化要因の発見に繋がるためです。
SWOT分析を用いて、製品単体ではなく、ブランド全体の長所と短所を書き留めます。
【工程②】ターゲットオーディエンスを調査
自社商品のターゲットとなるオーディエンスに対して、調査を行いましょう。
調査を行うことによって、差別化要因が明確になってきます。例えば、実際自社商品を購入したオーディエンスに調査を掛けるか、インタビュー等の定性調査を行い、ユーザーの潜在的ニーズを見つけてみましょう。
【工程③】差別化要因を開発
続いて差別化要因を開発していきます。差別化の範囲はとても広いため、まずは下記のカテゴリから要因を絞り込みすることから始めましょう。
- 価格
- 評判
- ユーザーとの関係
- サービス
- 製品
- 分布
ここで重要となってくるのが、ユーザーの感情的価値に訴えるような差別化を図るということです。『製品のスペックをアップグレード』だけの差別化だとすぐにマネをされますし、差別化としては弱いです。
例としては、Apple社のMac Bookのように『スペックも高く・持っているだけでカッコいい』というような感情的な価値観をもとに差別化要因を作成していきます。
【工程④】ストーリーを語る
差別化要因が固まってきたら、自社製品のストーリーを語りましょう。
これは、先ほどの『感情的価値』をユーザーに伝えるために必要な工程となります。また、競合他社がストーリーを語っていなければ、自社がストーリーを語ること自体も差別化戦略となります。
自社WebサイトやSNSなどを使用してストーリーを伝えることで、ターゲットにしているユーザーを取り囲みます。
【工程⑤】ブランドイメージを作成
より良い品質を確保することにより、戦略を実行しブランドイメージを作成します。ターゲットオーディエンス内の新しいユーザーを獲得するために、必要に応じて創造性を発揮し、ブランドの方向性変更するようにします。
差別化戦略の作成例
価値を高め、競合他社との差別化を図るために使用された、差別化要因の例は下記の通りです。
- 価値を維持するように構築された高価な製品で、イメージ、コミュニティに焦点を当てた。
- イベントを主催し、複数のブログ運営もおこない、日常業務の革新を示すアプリを作成した。
- 高品質の食材を使用することで、ファストフードサービスを向上させた。
- 製品やサービスの限界を押し広げ、広告キャンペーンや製品の配置を通じて、ブランドを必需品に位置付ける
差別化戦略のポイント
続いて差別化戦略を成功させるためのポイントを紹介します。
ターゲティングを幅広くしない
差別化戦略を行う場合、ターゲティングを幅広くしてはいけません。ターゲティングを広く取ると、ユーザーにニーズが響かないためです。
自社で『ダイエットサプリ』を扱っているとしましょう。ターゲティングを『痩せたい女性』と幅広く取ると、競合も多いためユーザーには、中々響かないでしょう。例えば、ターゲットを狭くして『足だけ部分痩せしたい女性』に絞りこみ、商品のキャッチコピーを『足だけの部分痩せに最適のダイエットサプリ』としたら、競合も少なく、ユーザーに響きやすくなります。
差別化戦略は競合を潰すものではない
差別化戦略は、競合他社を潰すものではないことを理解して戦略を作成するようにしましょう。
差別化戦略は、いわば戦いを避ける戦略です。例えば、アパレル業界では『ユニクロ』などの低価格帯の企業とハイブランドを扱う企業がありますが、両社でユーザーを奪い合うことはしていないということです。
両社ともにターゲットは違い満たすニーズが違うということです。
差別化戦略の成功例
実際に差別化戦略で成功した企業例を紹介します。
【差別化戦略の成功例①】モスバーガー
モスバーガーを運営するモスフードサービスは、差別化戦略に成功した企業と言えます。モスバーガーの差別化戦略は『安全・安心』『おいしさ』『店舗体験価値』です。
モスバーガーの店舗では、注文後に商品を作る『アフターオーダー制』や安全・安心を担保するため、生産者の紹介なども行っています。ファストフードの代表的な企業マクドナルドは、低価格重視のため、ポーターの戦略でいうと『コストリーダーシップ戦略』に当てはまります。両社を比べるとモスバーガーの差別化戦略がより明確になるでしょう。
【差別化戦略の成功例②】任天堂
任天堂も差別化戦略で成功した企業といえます。
任天堂はもともと玩具メーカーで、『ファミリーコンピューター』で有名となりました。参入の多いゲームメーカーですが、任天堂はその中でも『キャラクター作成』を差別化としています。スーパーマリオブラザースをはじめとする、任天堂のゲームキャラクター数は圧倒的です。
ユーザーから愛されるキャラクターを作成することにより、多くのファンを取り囲む任天堂の戦略も差別化戦略といえます。
【差別化戦略の成功例③】エルメス
フランスのハイブランドエルメスも、差別化戦略で成功した企業です。もともとハイブランドで有名ではあったが、『バーキンバック』で更なる差別化を図りました。
エルメスの差別化戦略は『独占性』と『希少性』といえます。まず、エルメスのバーキンバックは、店舗での購入が難しいと言われています。バーキンバックは全て手作りで大量生産を一切行っていないためです。
また、店舗に入荷したとしても通常の顧客では購入は難しくなります。これまでにエルメスでそれなりの金額を費やしたユーザーが優先的にバーキンを買う権利が与えられるためです。このような戦略がユーザーの『感情的価値』を刺激しています。
【まとめ】差別化戦略の作成方法（競争に巻き込まれないための戦略を学ぼう）
差別化戦略のポイントについて紹介しました。
今回紹介したポイントは下記の通りです。
- 差別化戦略を行うと価格競争に巻き込まれず、新規参入企業の抑制となる
- 差別化戦略を行うと価格が上がり、ユーザーが離れる可能性もある
- 差別化戦略を作成する際は、自社分析→ターゲティング→差別化要因の開発の手順で行う
- 作成する際は、ターゲティングを狭く他社とぶつからない戦略を取る
上記ポイントに気を付けて差別化戦略を行うようにしましょう。