今回はマーケティングの基礎であるポジショニング戦略について紹介をします。
「自社の強みを生かしたマーケティング戦略を見つけたい」
「競合が激しい市場で生き抜くための戦略が知りたい」
「競合と戦わないための戦略が知りたい」
このようなお悩みの方は、ポジショニング戦略を実践してみましょう。
マーケティングにおけるポジショニングとは自社の立ち位置です。これを理解してブランディングをしっかり行うことで、ユーザーの方から自ら近づいてくる戦略が行えます。ただし、この戦略を行うには正しい分析が絶対に必要です。
本記事でポジショニング戦略の基礎を学び、自社のマーケティング施策に生かしてみましょう。
ポジショニング戦略とは
ポジショニングとは 、自社の位置づけです。
わかりやすくいうと、ターゲットとなるユーザーの頭の中に差別化されたイメージを植え付ける戦略です。ユーザーに植え付けたイメージが、競合他社に比べて際立っているほど、ポジショニングの効果が発揮できます。
ポジショニングの目的
ポジショニングの目的は、ユーザー側から近づいてもらうことです。いわばブランディングです。
一般的な広告のPRが「企業→ユーザー」に対しての訴求になるが、ポジションは、ユーザーの方から「この企業の商品を買いたい!」と選んでもらうための戦略といえます。
例えば、誰もが一度は飲んだことがあるコカ・コーラは、家庭の定番として世界中で毎日何百万人もの人々に届けられています。それは、私たちの心の中で炭酸飲料の中でコーラが定番として位置づけられているためです。
ブランドポジショニングにより、企業は競合他社との差別化を図ることができ、この差別化は、ブランドの認知度を高め、価値を伝え、価格設定を正当化するのに役立ちます。
ポジショニング戦略の種類
ポジショニング戦略には5つの種類があります。自社に合ったものがあるか見つけてみましょう。
製品特性に基づくポジショニング
製品特性に基づくポジショニングとは、製品の特性や利点を前面に押し出す戦略です。
例えば、自動車業界では、市場におけるトヨタの位置は信頼性であり、ポルシェの位置はパフォーマンス、ボルボの位置は安全です。
製品の最もユニークな利点や特徴をユーザに一貫して伝える戦略です。
低価格ポジショニング
低価格ポジショニングとは、ブランドを競争力のある価格に設定し関連付けることです。低価格ポジショニング戦略では、市場で最も安くすることを目指しており、価値がその位置になります。
たとえば、スーパーマーケットチェーンには、多くの製品カテゴリで低価格の製品を扱う自社ブランドがよくあります。これは、流通コストが低く、競合他社よりも製品の価格を低く設定できるためです。
高価格ポジショニング
高価格に基づくポジショニングとは、高価格によってブランドイメージをユーザーに植え付ける戦略です。消費者は、価格の高い製品は品質が優れていると認識しているのと、高価格の商品を持つことがステータスとなっています。
例えば、高級車のロールスロイスは、どのメーカーよりも高価格でロールスロイスに乗ることがステータスとなっていますが、実際は品質が一番良いというわけではありません。品質ではなく『高価格』であることでブランドイメージをユーザーに植え付けているということになります。
製品の用途に基づくポジショニング
製品の用途に基づくポジショニングとは、製品の使用イメージをユーザーに植え付ける戦略です。
たとえば、資生堂が展開する「シーブリーズ」のボディケア用品はもともと20~30代の男性が海で使用すると言った使用用途のイメージから、ティーンエイジャーが日常的に使用するという用途にポジショニングを変更し、売り上げが8倍まで増加しました。
このように商品をどのような用途で使用するかをイメージつけるのもポジショニング戦略の1つになります。
競争に基づくポジショニング
競争に基づくポジショニングは、会社とその製品が競合他社よりも優れていることに焦点を当てる戦略です。
この戦略は、競合他社が激しい市場の場合に有効な戦略です。自社の製品・サービスの競合他社との違いを前面に押し出し、ユニークに見えるようにする戦略です。
ポジショニング戦略の始め方
ポジショニング戦略の種類について理解ができたら、戦略の進め方について理解しましょう。
①競合分析を実施する
まず、はじめに競合分析を実施します。競合を分析するためのサンプルを用意しましたので下記を参考に競合他社を洗い出してみましょう。
- 自社の主な競争相手は誰か
- 競合他社はどの程度の影響力を持っているか
- 各競合他社はそれぞれどんなテーマを持っているか
- 競合他社の製品でユーザーから人気のあるものは何か
- 現在の業界の状況はどうか
- 今後脅威となる存在はいるか
②ポジショニングマップの作成
次にポジショニングマップを作成します。ポジショニングマップとは、競合との差別化を図り、競争優位性のある独自ポジションを見つけ出すためのマップです。
ポジショニングマップを作成するには、2つの軸を決め、そこに先ほど洗い出した競合他社を当てはめていきます。マップに使用する軸は、業界に合ったものを選定しましょう。代表的な軸としては下記の通りです。
- 品質と価格
- 機能性と価格
- 健康と美味しさ
- 価格とパフォーマンス
- 価格対安全性と信頼性
いくつかの軸を選定し、自社が入り込めるポジションがないか確認してみましょう。
③ポジショニング・ステートメント
次にポジショニング・ステートメントを行います。
これは、市場における自社の商品をどのように位置付けるのかを具体的に文書化したものです。ポジショニング・ステートメントにより、自社商品のあるべきポジショニングを具体化することで、これからの戦略を明確化することができます。
下記項目を明確にしてみましょう。
- ターゲット(誰に)
- 特徴(他社との差別化要素)
- 満たすニーズ(他社でも満たせるニーズではダメ)
④ポジショニングが機能するかテスト
ポジショニング・ステートメントが作成できたら、ポジショニングが機能するかテストをしましょう。
テストでは、ターゲット市場にて1対1のインタビュー、投票、アンケート調査を使用して、定性的および定量的な調査を行う必要があります。受け取った回答に基づいて、戦略を微調整するかを決定しましょう。
ポジショニング戦略を成功させるためのコツ
続いてポジショニング戦略を成功させるためのコツを紹介します。
真似がされやすいポジションにはしない
1つ目は、真似されやすいポジショニングはしないということです。自社にしかできないことをポジショニングとするのが重要です。
例えば、低価格というポジショニング戦略は、どの企業も価格を下げればいいので真似されやすいですが、「自社で中国の仕入先を開拓する」「自社独自の流通を確保する」などをして、圧倒的な低価格をポジショニングとすれば、競合が入りづらいポジショニング戦略となります。
自社にとって優位な軸でポジショニングマップを作成する
ポジショニングマップを作成する2つの軸は、現在の自社にとって優位なものを軸として考えるようにしましょう。
例えば「トレンド重視で低価格」のアパレルブランドが、今後のポジションを「トレンド重視で高価格」なブランドをポジショニングとした場合、これまでにユーザーに与えてきた低価格のイメージを覆すには非常に難しいと言えます。
それであれば低価格をベースとしてターゲットを「主婦」「体が大きい人」向けなどのポジショニングを取った方がユーザーに早く浸透する可能性が高くなります。
リポジショニングを定期的に行う
ブランド・リポジショニングとは、ブランドはそのままにして市場を変える戦略です。
市場は時代の流れとともにすぐ変化していきます。
例えば、同じ市場に多くの競合他社が参入した場合、各企業のポジション争いになり、既存ユーザーが分散されてしますので、市場やターゲットを変えていくブランド・リポジショニングを定期的に行っていく必要があります。
ポジショニング戦略の成功事例
ポジショニング戦略での成功事例を2つ紹介します。
【成功事例①】Netflix
Netflixは190か国で、1億9千万以上のユーザーが利用している世界トップの動画配信サービスです。
Netflixのサービス開始当初は、実店舗でビデオをレンタルするのが当たり前だったのがあり、多くのユーザーがネット配信に抵抗がありました。そこでNetflixが最初に行ったポジショニングは「ニッチ映画市場」でした。
レンタルビデオ店には、人気映画ばかりが並び、「実店舗でニッチな映画を見つけるが大変」と映画ファンから不満の声が上がっていました。そこで、Netflixは、人気映画を配信するのではなくニッチな映画を中心に配信することで、多くのニッチ映画ファンを獲得し、世界トップの配信サービスとなりました。
【成功事例②】カルビーフルーツグラノーラ
カルビーにフルーツグラノーラは、1991年に誕生し、忙しい女性をターゲットにして販売をしたが、2000年頃まで売上が上がらず、カルビーは撤退も検討していました。
2010年に入り、フルーツグラノーラは、忙しい女性から「朝食市場」へのポジショニングに変更しました。さらにカルビーは、ただ朝食市場に乗りこむだけではなく、朝食にヨーグルトを食べるユーザーをターゲットとしました。
「フルーツグラノーラはヨーグルトと相性が良い朝食」とユーザーに訴求をし、これがヨーグルトファンで話題となり、数年で年商を5倍まで増加させました。
【まとめ】ポジショニング戦略で競合に負けない自社だけのポジションを確立する方法
ポジショニング戦略について紹介しました。
ポジショニング戦略は製品の「特性」「価格」「使用用途」「競合との比較」などに基づき、他では真似できない自社のポジションを位置付ける戦略です。
ポジショニング戦略を成功させるためには、自社の強みを理解し、徹底的に競合を分析することが重要です。これを徹底的に分析することで、まだ手が付けられていないポジションを見つけることができます。