効率的に顧客へアプローチするターゲティングとは

できるだけ多くの顧客に自社の商品を手に取ってもらいたいという思いは、大半の企業に当てはまるでしょう。

しかし、万人受けする商品を開発することは簡単ではありませんし、どんな企業でもマーケティング投資も無限に行えるわけではありません。

無駄な投資を行わず、自社のビジネスを拡大していくためには、どんなことが必要でしょうか。

アプローチする顧客を絞り込めば良いのでしょうか?

参入すれば自社の勝ち戦になる市場を探せば良いのでしょうか?

顧客を囲い込み、競合他社に取られないようにすれば良いのでしょうか?

どれも必要な観点ですが、実際には自社の思いや方針を優先して、非効率的なマーケティングを行っていることもありえます。

ターゲティングとは、自社の商品を買ってもらいたい、かつ、買ってもらえる可能性がある顧客をターゲットとして選定することです。

以下では、ターゲティングを行うための基本的な方法と事例をご紹介します。

企業のマーケティング担当者や経営者であれば、ぜひ押さえておきましょう。

マーケティング戦略におけるターゲティングとは

ターゲティングとは、市場に存在する顧客の中から、自社がアプローチする顧客を定めることです。

ターゲティングはSTP分析の2つ目の要素

マーケティング戦略を立てる際に使われる分析手法の一つとして、STP分析があります。

Sが示すセグメンテーションで顧客のグループ分けを行い、Tが示すターゲティングで自社にとっての重要顧客を決定します。

そしてPが示すポジショニングでは、ターゲティングにより選定した顧客にとって、自社が唯一無二の特別なポジションとなるように取り組みを行います。

すなわち、ターゲティングの前にセグメンテーションを行い、自社の市場に存在する顧客セグメントの理解を深めておくことが前提となりますので、留意してください。

ターゲティングの意味と目的

商品を特に購入してほしい顧客層を定める作業であるターゲティングは、効率的なリソース投資のために行われます。

商品開発、営業、プロモーションなど、限りあるリソースを配分する際に、商品需要がある(と考えられる)重要顧客に注力することで、投資対効果を最大化するのです。

重要顧客には、リーチすれば購入する確率が高いと考えられる新規顧客や、購入頻度の向上を狙える既存顧客などが含まれますが、選定基準は後ほどフレームワークを紹介します。

ターゲティングの必要性

セグメンテーションで自社の顧客理解を深めたとして、すべての顧客に等しくアプローチをすることは、予算や人的リソースなど様々な理由で難しいでしょう。

このような場合はターゲティングで顧客セグメントの優先度づけを行い、リソースを割り当てていきます。

ターゲティングを行わなかった場合、ニーズがない顧客層にアプローチして成果が出なかったり、購入単価や購入頻度が低い顧客にキャンペーンを仕掛けて投資に見合わなかったりしてしまいます。

ターゲティングでは顧客ニーズやビジネスインパクトを考慮しますので、そのような無駄をなくして売上向上を狙えるようになります。

また、ターゲットが明確になることで、重要顧客に応じた商品、価格、プロモーション、チャネル等の詳細を検討しやすくなります。

ターゲティングの行い方

ターゲティングのフレームワークをみていきます。

6Rのフレームワーク

ターゲティングで使えるフレームワークとして「6R」があります。

自社の方針だけでなく、様々なビジネス観点から狙うべき重要顧客を判断するために活用できます。

  1. Realistic Scale(有効な規模): ビジネスが成立する規模を持つ市場か
  2. Rate of Growth(成長率): 今後も成長が見込める市場か
  3. Rank/Ripple Effect(優先度/波及効果): 顧客にとって関心や優先度が高い商品であり、口コミやSNSシェアなど周囲への波及効果が期待できるか
  4. Rival(競合): 市場に対する競合他社の数やシェア占有率など、競争環境はどうか
  5. Reach(到達可能性): 地理的条件や販売ルートなど顧客に到達できるか
  6. Response(測定可能性): 広告やキャンペーンなど施策に対する顧客の反応を測定できるか

ターゲティングを行うときの注意点

6Rを活用することで客観的に市場や顧客セグメントを評価することが可能になります。

しかし、企業としてどのような顧客に自社商品を購入してほしいか、という存在意義につながる観点も忘れてはいけません。

顧客と企業、双方が受けるベネフィットを最大化できるようなターゲティングを目指しましょう。

ターゲティングの成功例

ターゲティングを活用した企業の成功例をみていきます。

スパークリング日本酒「澪」の事例

宝酒造から2011年に発売された澪は、20~30代女性をターゲットとしたスパークリング日本酒です。

それまで日本酒は「中高年の男性向け」「渋いパッケージ」「時間をかけてじっくり飲むもの」などのイメージでしたが、澪の登場により「女子会向け」「飲み切りサイズの和モダンなパッケージ」「フルーティで飲みやすい」などのイメージが広まりました。

「澪パ(澪パーティ)」というキーワードでマス広告のみならずSNSマーケティングを行い、お酒をライトに楽しむ顧客層に支持されています。

日焼け止め「Coppertone(コパトーン)」の事例

大正製薬が発売したコパトーンは、クリームに配合されたパール(光沢剤)やホワイトパウダー(着色剤)によるメイクアップ効果で、肌をきれいに見せられることをアピールした日焼け止めです。

それまでの日焼け止めの選択要因としては、紫外線防止効果の高さ、ウォータープルーフであること、クレンジング不要で石鹸で落とせることなどが主に重視されてきました。

コパトーンはそのような特徴に加えて「肌をきれいに見せる」「キラキラ光っておしゃれ」というような新しい価値を提供しています。

根強いファンを持つ大手化粧品会社のロングセラー商品や、話題性の高い新商品が並ぶ日焼け止め市場において、「日焼けを防ぎながら肌をより美しく見せたい」というニーズを持つ顧客層を獲得しました。

【まとめ】強みを活かす効率的なマーケティング活動につながるターゲティング

ご紹介したターゲティングを行うことにより、自社の強みや独自性を活かせる市場を特定し、効率的に顧客にアプローチすることができます。

将来性のある市場で自社のリソースを有効に使うために、セグメンテーション後に着手してみてください。

効率的に顧客へアプローチするターゲティングとは
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