今回は、デジタル・ディスラプター戦略について紹介をしています。
「新しい企業に業界参入により自社の売上が低下している」
「今後の新企業参入への対策方法が知りたい」
「今後どのような企業が破壊的企業となるか知りたい」
このようなお悩みの方に有益な情報を公開しています。
デジタル・ディスラプターは、デジタル化によって市場を破壊するようなビジネスモデルです。デジタル化は年々進化をしているため、既存の企業が生き残るためには、今後更に脅威になってくるデジタル・ディスラプターと戦っていく必要があります。
本記事では、デジタル・ディスラプターの定義と対策について紹介をしていますので、是非、参考にして下さい。
デジタル・ディスラプターとは
デジタル・ディスラプターとは、デジタル化によって、市場を破壊する企業を指します。
音楽用のCDであればインターネット音楽配信、新聞社・出版社であれば、電子書籍などが当てはまります。このようにデジタル化によって既存企業の脅威となり、市場を破壊するようなビジネスモデルの企業に対して対策をしていくことが既存企業の今後の課題となっています。
デジタル・ディスラプターの定義(提供する3つの価値)
デジタル・ディスラプターは、提供する3つの価値を組み合わせて創出されています。
デジタル・ディスラプターで長期的に成功している企業は、この3つの価値をうまく融合しているため、この提供する3つの価値がデジタル・ディスラプターの定義といえます。
コストバリュー
デジタル・ディスラプターの定義の1つにコストバリューを追求するというビジネスモデルがあります。商品・サービスの非物理化を進めて、ユーザーへ提供する価格を下げています。
Amazonが提供する電子辞書サービスの「kindle」であれば、ユーザーが書店に出向き、本を買いに行くという行為を省くのと同時に低コストで商品を購入できるサービスを提供しています。
エクスペリエンスバリュー
エクスペリエンスバリューとは、これまでにない新たな付加価値をユーザーに提供するということです。
例えば、AmazonのEコマースでは、prime会員になると翌日配達などの優遇を提供、類似したユーザーの閲覧商品などを検索結果に表示する機能がエクスペリエンスバリューといえます。
このような付加価値がコストバリューと相乗効果を生み出していくと、デジタル・ディスラプターに近づいていくということです。
プラットフォームバリュー
プラットフォームバリューとは、ユーザーにポジティブなネットワーク効果を提供し、競争力を高めるということです。
例えば、食べログのような口コミのプラットフォームを提供し、飲食業界が盛り上がれば、食べログに掲載したい店舗が増え、結果プラットフォームを提供した企業の収益が増えるということです。
デジタル・ディスラプターの企業事例
デジタル・ディスラプターの成功事例と言える2社を紹介します。
【デジタル・ディスラプターの企業事例①】Uber
Uberとは、巷で話題のウーバーイーツなどのサービスを提供している企業で、日本であらたに「Uber Taxi(ウーバータクシー)」の運用が開始されました。ウーバータクシーは、スマホアプリを利用して、現在地付近にいるタクシーを呼び出すことができる配車サービスです。
ウーバータクシーをデジタル・ディスラプターの価値に当てはめると下記のようになります。
- アプリで乗車手配可能で料金は従来のタクシーの3分の2(コストバリュー)
- 車種の選択可能、ドライバーに目的地の説明をしなくても良い(エクスペリエンスバリュー)
- 世界の主要都市で利用可能(プラットフォームバリュー)
デジタル・ディスラプターの3つの価値を上手く融合したビジネスモデルといえます。
【デジタル・ディスラプターの企業事例②】Airbnb
Airbnb(エアービーアンドビー)もデジタル・ディスラプターで成功した企業の1つといえます。Airbnbとは、空き部屋を貸したい人(ホスト)と部屋を借りたい旅人(ゲスト)とをつなぐサービスです。日本を含む世界190ヶ国34,000以上の都市で利用されています。
Airbnbをデジタル・ディスラプターの価値に当てはめると下記のようになります。
- ホテルよりも安価(コストバリュー)
- ユニークな部屋に泊まれる(エクスペリエンスバリュー)
- 世界190ヶ国で利用可能(プラットフォームバリュー)
デジタル・ディスラプターが既存企業に与える影響(Uberを例に説明)
デジタル・ディスラプターについて理解できたら、デジタル・ディスラプターが実際に既存企業に与える影響について理解しましょう。
Uberを例に説明します。Uberが影響を与えるのは、タクシー業界だけではなく、バスや鉄道や輸送業界などにも影響を与えているといわれています。その要因について説明します。
自動車業界への影響
Uberは簡単にいうと自動車を持つユーザーと自動車で移動がしたいユーザーをマッチングされるサービスです。そのためUberは配車サービスを展開するにあたり、自動車は購入せず、眠っていた資産を有効活用しています。
今後Uberが更に発展をしていき、自動車を持たなくなる割合が増えていけば、輸送業界だけではなく、自動車業界にも影響があると予測できます。
既存の業界で解決できない問題をクリアにしている
Uberでは、タクシー業界で解決が出来ない問題をクリアにしています。
タクシー乗り場までいかなくてもよい、料金もルートが確定した時点で表示される、ドライバーの評価システムにより、評価が低いドライバーは選択されなくなる。そのためユーザーとドライバーのトラブルも少なくなります。
デジタル・ディスラプターは、既存企業では解決できない問題をクリアにしてしまう点も非常に重要なポイントとなります。
デジタル・ディスラプター戦略
それでは、実際に既存企業がデジタル・ディスラプターと戦っていくには、どうしたら良いでしょうか?デジタル・ディスラプター対策としては4つの戦略方法があり、これらを駆使していくのが一般的な戦略となっています。
収穫戦略
収穫戦略とは、デジタル・ディスラプターを遮断し、次の戦略を練る為の時間稼ぎをするのが目的です。
資金力を使いデジタル・ディスラプターよりも価格を下げるなども施策を行いながらデジタル・ディスラプターの動向から事業を改善するためのヒントを得るという目的もあります。
撤退戦略
撤退戦略とは、破壊されようとしている事業から撤退をする戦略です。
撤退を見極めるタイミングは非常に難しく、早すぎれば利益を取りっぱぐれてしまいますし、遅すぎても事業としての価値が失われてしまいます。今の市場から逃げ出し、ニッチな市場に逃げ込むか、既存企業を合併・売却をするかなどを考えていきます。
デジタル・ディスラプターの影響をもろに受けてきた音楽業界などは、レコード盤などのニッチな市場に逃げ込んでいる企業も存在しています。
破壊戦略
破壊戦略とは、自社がデジタル・ディスラプターになって戦うということです。
冒頭で紹介した、デジタル・ディスラプターの3つの定義の「コストバリュー」「エクスペリエンスバリュー」「プラットフォームバリュー」を融合し戦っていく必要があります。また、デジタル・ディスラプターは大きく分けると3つのタイプに分類されます。
- マッチング型(Uber、Airbnb)
- プラットフォーマー(Google、Apple)
- 価格破壊型(FinTec)
これらの企業のビジネスモデルも参考にして、自社もデジタル・ディスラプターとして戦うのも有効な戦略の1つといえます。
拠点戦略
拠点戦略とは、ディスラプターが市場を席巻している間に生まれる市場で利益を享受できるチャンス(バリューベイカンシー)を長期間抑えるということです。事業を新設・買収・提携することで行うことができます。
Apple社の拠点戦略
1990年代にナップスターが音楽の共有システムを音楽業界に導入しました。
好きな音楽をMP3に変換し、自分の欲しい音楽が無料でダウンロードできるサービスです。この画期的なシステムによってナップスターは急成長をしましたが、音楽業界が法的措置を取ったため、ナップスターは撤退を迫られました。この瞬間に目を付けたのがApple社です。
「iTuens」を音楽業界に導入し、バリューベイカンシーを掌握しました。このように市場に対して、一瞬現れるバリューベイカンシーを抑えることを拠点戦略と呼びます。
今後デジタル・ディスラプターになりうるサービス・業界とは
今後デジタル・ディスラプターになりうる新しいサービスや業種について紹介します。これらを理解しておくことも既存企業が残るためには、非常に重要な対策といえます。
専門サービス
AIの発展により、従来人間が行ってきた専門サービスの業務のほとんどはAIが行うようになると言われています。
例えば、旅行に行く際も、旅行代理店にわざわざ足を運んで旅行を計画するのか、学習AIにより、あなたの普段の趣味を考慮した上で的確な旅行プランを自宅にいながら受けれるサービスがあれば、ほとんどの方が後者と選択するということです。
VR
VRと言えば、ゲームなどを思い浮かべる方も多いかと思いますが、それだけではありません。近年VR業界には多額の投資が行われています。
今後、仮想現実を利用した、ツアーや会議、研修などが一般的になると言われています。また、CGなどで作った仮想現実を現実世界に反映(拡張)することも可能です。現在では、軍隊の訓練や航空操縦、手術のシミュレーションなどに活用され始めています。
新しい体験型のマーケティング
顧客ロイヤルティやハイパーターゲティングによるマーケティングといった戦略はことごとく使い尽くされました。
現在多くの企業が、顧客やオーディエンスと本当の意味で関わるには、従来のマーケティングではなく、体験型のマーケティングだということで、移行が行われています。
近年だと、ニューヨークにて、チョコレートブランドM&M’SとARアプリのBlipparが共同で体験型イベントを開催しました。M&M’Sの看板やパッケージにスマホをかざすことでゲームをプレイすることが可能になると言った体験型マーケティングが大成功を収めました。
今後、エクスペリエンシャルマーケティングが更に普及をすれば、マーケティング業界にも激変が起こると予想されています。
拡張知能の誕生
AI(人工知能)は年々進化をとげ、拡張知能と呼ばれることも多くなりました。
以前のAIは、お問い合わせフォームに入っているような、氏名やメールアドレスなどの構造化されているデータしか処理できませんでした。しかし今では、自然言語で話していることやSNSに書き込んだ内容、画像や映像データなどの非構造化データを全て処理できるようになりました。
非構造化データを構造化データに直して再利用できることは、今のAIにおいては非常に重要なポイントで、それは次の新しいサービスやビジネスに繋がっていくと言われています。
医療業界
医療業界では、スマートヘルスケアが誕生してから多くの医療機関や起業が導入をはじめています。
スマートヘルスケアとは、スマートフォンやタブレットを使い、患者の健康に関するデータを収集。それらのデータを分析することで、オーダーメード治療などが可能になります。その結果、医療現場で起こる人件費が最適化され、コミュニケーションコストなどの削減にもなるというものです。
スマートヘルスケアの誕生により、医療業界にも大きな影響を与えています。
【まとめ】デジタル・ディスラプター戦略を駆使し既存企業が生き残る方法
デジタル・ディスラプター戦略について紹介しました。
デジタル・ディスラプターとは、デジタル化により、市場を破壊する企業です。既存企業にとっては、脅威であり対策をしなければ生き残ることは難しくなります。
デジタル・ディスラプター戦略を駆使して、防衛をするのか、撤退か、または自社がデジタル・ディスラプターとなる、いずれかの戦略が必要になってきます。
今後各業界からもデジタル・ディスラプターは誕生すると予想されますので、現段階から生き残るための対策を考えていくべきといえます。