今回は定性調査と定量調査の違いについて紹介しています。
これから新商品のPRや自社の売上増加のためユーザーに対してアンケートやインタビューなどの調査を検討しているが「どの手法で調査してよいか分からない!」とお悩みの方も多いのではないでしょうか?
ユーザーのニーズを理解する調査方法はたくさんあり、調査方法ごとにメリットもデメリットもあります。調査方法の選択を誤ってしまうと費用だけ掛かり、欲しいデータが取れないというケースも考えられますので、本記事を参考にして自社に合った調査方法を探してみましょう。
定性調査と定量調査の違い
ユーザーを理解するために行う調査は、主にインタビューなどの定性調査とアンケートなどの定量調査に分かれます。それぞれ目的が異なりますので紹介していきます。
定性調査とは
定性調査とは、インタビューなどを行いデータなどでは分からない、ユーザーのニーズを深堀した調査方法です。
「なぜこの商品が好きなのか?」
「なんでこの商品を購入したのか?」
などの理由や経緯を知ることを目的としています。
数値に出来ない価値観などを定性調査で探りして、ユーザーの奥深くに眠るニーズを理解する目的で行われる調査方法です。
定性調査の種類
定性調査にはいくつかの手法があります。インターネットなどの普及によって新しい手法も誕生しています。代表的な手法を紹介します。
グループインタビュー
グループインタビューとは、調査する条件に一致するユーザーを5~6名集め、グループでインタビューを行う手法です。
意見交換などが目的になります。複数人のディスカッションにより、個人では生まれにくい意見を期待することができます。
デプス調査
企業側とユーザーが1対1で面談するインタビュー形式の調査です。1人のユーザーの意見を深堀することができるので、潜在ニーズなどを探るのに適しています。
マーケティング施策では、デプス調査を行ってからペルソナを作成するのが一般的になっています。
行動観察調査
行動観察調査は、実際に商品を購入する状況に近づけて行う調査方法です。
ユーザーのありのままのニーズを把握することが可能になります。ユーザーに実際に買い物をしてもらいどんな商品を購入するかなどを観察して調査します。
現場の手配など手間がかかってしまうのがデメリットです。
ソーシャルエスノグラティ
ソーシャルエスノグラフィは、特定のキーワードの口コミをしたユーザーについて、長期間観察をする手法です。
過去のニーズや潜在的なニーズを把握することが可能です。
ネット上での調査になるため、インタビュー調査よりもコストが掛からないというメリットもあります。
ネットインタビュー
ネットインタビューとは、冒頭で紹介したグループインタビューとデプス調査をオンラインで行う手法です。会場手配などの手間やコストを削減できるので、近年注目されています。
定性調査のメリット
定性調査のメリットは、ユーザーの潜在的なニーズが把握できるという点です。ユーザーのリアリティのある意見を聞くことで、商品開発やマーケティング施策のヒントを得ることができます。
定性調査のデメリット
定性調査のデメリットは、インタビューの対象者の選定や会場を用意したりなど手間やコストが掛かる点と、インタビュアーの能力によってユーザーのニーズが聞き出せるかどうかに影響するため、スキルある調査員を用意しなくてはいけません。
総合的に見てコストが大きく掛かるという点がデメリットといえます。
定性調査のポイント
定性調査でインタビューを行う際のポイントは、ユーザーの表面的な意見だけに左右されてはいけないという点です。
- 質問を聞く
- 表面的に質問の回答を聞く
- ユーザー感情の奥を聞く
この3つの「聞く」を意識してインタビューをしていきます。
インタビューの一番難しいところは、自社が知りたい情報はユーザーが自分自身で把握していないことが多いということです。
例えば、「なぜこの商品を使っているのですか?」と質問しても多くの人は「なんとなく」と答えるでしょう。この奥を探るために初めて商品を使った時の感情や商品を使った経緯や背景などを深堀していき、より深くにあるニーズを引き出していく必要があります。
定量調査とは
定量調査は、人数や数値など明確な数字をデータで表すことができる調査です。
データをもとに集計や分析をすることを目的としています。一般的にはアンケートなどで行われることが多くユーザーの明確な情報を可視化できるのが特徴です。
定量調査の種類
定量調査にも様々な手法があります。基本的にはアンケートなどで結果が数値として明確に分かる手法になります。
インターネット調査
インターネット調査は、HPなどを利用してアンケートを行う手法です。
費用も大きく掛からず短期的にたくさんのデータを回収できるのがメリットで、多くの企業が利用している手法になります。
訪問調査
訪問調査とは、調査員が対象ユーザーの自宅に訪問して調査する手法です。
直接訪問するので他のアンケート調査よりも回収率が高いというメリットがありますが、人件費や交通費などその分コストがかかります。
電話調査
電話調査は、調査員が直接対象ユーザーに自宅に電話をかけて調査を行う手法です。
アンケート用紙に記入する手間がないので、ユーザーにとっては手軽に回答することができます。
郵送調査
郵送調査は、アンケートを対象ユーザーの自宅に発送して回答してもらう手法です。
ユーザー自身が返送しなくてはいけないため、回収率が低いのがデメリットです。
会場調査
会場調査とは、会場に対象者を集めてその場でアンケートに答えてもらう手法です。
現場で意見などが聞けるというメリットがありますが、会場の手配などのコストがかかるというデメリットがあります。
定量調査のメリット
定量調査のメリットは、低コストでスピーディーに調査ができる点です。
回答も選択式の質問なのでユーザーへの負担も少なく、信頼性のあるデータがすぐに手に入ります。
定量調査のデメリット
定量調査のデメリットは、質問の内容によってデータの信憑性が異なるということです。自社でアンケートを作成する場合は、注意が必要です。
定量調査のポイント
定量調査のポイントは、質問量と質問の流れです。
質問量が多くなり過ぎないようにしましょう。質問が多くなればなるほど、ユーザーは回答が面倒と感じ回収率が悪くなります。また、ユーザーが回答しやすいように質問の流れを意識してアンケートを作成しましょう。
例えば、商品の満足度調査などであれば下記のような流れが理想です。
- 弊社の商品をどこで知ったか
- どこで購入したか
- 商品を使用した感想
- 改善してほしい点はあるか
時系列にしてあげることによってユーザーが答えやすいアンケートになります。
定性調査と定量調査の違いと使い分け方を理解しよう!
定性調査と定量調査の違いについて理解したら、ケース別に定性調査と定量調査のどちらを使って調査をすればいいかを理解しましょう。
定性調査が向いているケース
定性調査が向いているケースには以下のようなものがあります。
新商品の方向性がある程度固まっている場合
実際に商品の方向性が決まっており、ユーザーのニーズと合致するかどうか確認したい際は、定性調査が向いています。
インタビューであれば実際に商品を使用してもらいユーザーの生の声を聞くことができます。
成功事例を見つけたい場合
何か新しい商品開発のアイデアや成功事例を見つけたいケースの場合、定性調査が向いています。
ターゲットにしたいユーザー層が決まっていれば、インタビューにより、そのユーザーの思考や潜在ニーズを把握し、新しいアイデアが見つかるかも知れません。
トレンドを把握したい場合
ユーザーのトレンドを把握したい場合は定性調査が向いています。
一見アンケートなどの定量調査の方が向いていると思いますが、数値などのデータでは判断がしづらいのが現状です。定期的にインタビューなど定性調査を行いトレンドの流れを把握する方が結果としてトレンドを把握しやすくなっています。
定量調査が向いているケース
定量調査が向いているケースには以下のようなものがあります。
認知度・満足度などの市場調査の場合
認知度や満足度などの調査の場合、結果が数値としてはっきり出る定量調査が適しています。結果が良いか悪いか白黒つけたい際などは、定量調査を行うようにしましょう。
ユーザーの属性ごとに分析をしたい場合
ユーザーの属性ごと、30代男性、30代女性などのグループごとに調査したい場合は定量調査が向いています。
調査内容にもよりますが、調査結果の精度を上げようとする場合、調査するユーザー数を上げる必要があります。これを定性調査で実行してしまうと費用や時間が多く掛かるため、定量調査が向いているといえます。
質問結果の結び付けを見たい場合
質問結果の結び付けが見たい場合は、定量調査が向いています。
例えば、商品の利用頻度が高い人と低い人では、商品のリピータ率は異なるか?といったことを調査したい場合は、アンケートなどの結果を掛け合わせるだけで調査ができます。
定性調査と定量調査の違いを生かすハイブリット手法とは
定性調査と定量調査を使い分けることも重要ですが、2つの調査方法を両方行うハイブリット手法という方法もあります。どちらの調査から始めるかによって多少違いがあるので紹介します。
定性調査→定量調査の手法(スタンダート型)
ハイブリット手法のスタンダート型は、定性調査を先に行い、定量調査後に自社に意思決定をするというのが一般的です。
定性調査では、仮説を立てるためにインタビューなどで情報を多く集めて、自社が定めた目的と照らし合わせて仮説を構築していきます。定性調査で出来上がった仮説を定量調査でボリュームを確認し、その後に自社で意思決定をするという流れです。
定量調査→定性調査の手法(近年の手法)
近年の手法としては、先に定量調査をおこない、その後、定性調査を行うハイブリット手法も多くの企業が実践しています。
仮説を立てるのは、定性調査が一般的でしたが、近年ではインターネットの普及により、インターネットでのアンケート調査が簡単になった点や、過去の定量調査のデータ、各省庁などが提供しているデータが参照できるようになったため、定量調査から仮説を立てることも可能になりました。
定量調査の回答をもとにターゲットに定性調査をおこなうことで、自社では気づかなかった商品の改善点などが見つかる可能性もあります。
【まとめ】定性調査と定量調査の違いを理解して正確な調査を行う方法とは
定性調査と定量調査の違いについて紹介しました。
それぞれの調査には、特徴があり結果も違ってきます。自社の目的に合わせて2つの調査を使い分けるか、より正確なデータを把握したい場合は、定性調査と定量調査を合わせたハイブリット手法も検討してみましょう。